課題解決に向けて

イタリアの避難所に学ぶ

理想的な避難所運営の例として、しばしばイタリアが取り上げられます。イタリアでは国が積極的な災害対策をしています。日本とはどのように違うのでしょうか。

●トイレ、ベッド、テントがすぐ届く!

 日本の避難所では雑魚寝が一般的ですが、新潟大学の榛沢和彦氏によれば、「このような避難所は先進国では実は日本だけ」で、「欧米の避難所では必ず簡易ベッドが準備され、またテントで家族ごとに避難生活をするのが一般的になっています」とのことです。

 イタリアでは、法律で避難所には48時間以内にテントやベッド、仮設トイレや食堂などを準備し提供しなければならないことが明記してあります。日本でも内閣府の「避難所運営ガイドライン」には簡易ベッドの使用が明記されました。しかし、避難所での優先順位は低く、榛沢和彦氏によれば、「設置までに発災後平均10日以上」かかっているのが現状です。簡易ベッド使用についての防災協定は31道府県、300市町村が締結していますが、実際は市町村からの要請がなければ届きません。また、防災協定のみでは欧米並みの3日以内の設置は難しく、段ボールベッドを要請されてから作って届けるには最低7日はかかります。

 しかし、あらかじめ簡易ベッドを備えてあれば、発災後3日以内の設置が可能です。イタリアでは公的な大きな備蓄倉庫を各州・災害ボランティア団体が持っています。こうした体制があるからこそ、発災3日以内、早ければ発災当日にテントやベッド、トイレなどを設置できるのです。

●おいしい食事が届く!

 次に避難所での食事ですが、イタリアでは、調理を担うボランティア団体が、キッチンカーを各地に準備し食事を支給します。数百人規模のテントを食堂として使うこともあります。

 日本の避難所は、内閣府の「災害救助法による救助の程度、方法及び期間並びに実費弁償の基準」により開設できるのは7日以内と定められているため、飢餓にならないための炭水化物だけあれば良いと考えられており、パンとおにぎりが主流です。一方、欧米の避難所では食事の重要性は栄養摂取だけではありません。暖かく美味しい食事で被災者が安心できるよう考慮されています。

●被災地への支援体制が充実!

 イタリアでは、災害支援物資を運搬・配布する職能支援者が多数います。職能支援者とは、自身の職業を活かして災害支援を行う一般住民のことで、被災地でコックや運転手など自らの職業の業務を行います。災害支援活動を希望し、あらかじめ災害時の対応訓練を受けてから国に登録しています。最大7日間の給与、交通費、保険が保障されて被災地に派遣されます。また雇用者は登録者を被災地に派遣させるよう法律で義務付けられています。職能支援者は、300万人近く登録され、被災地を支えています。

●自治体職員の負担が少ない!

 日本では、被災地の自治体職員が避難所を開設する必要があります。しかし、イタリアでは、災害支援の必要性は国や州の市民保護省や保護局が判断し、職能支援者と協力して支援物資を被災地まで迅速に運搬・配布し、避難所設営を行います。このように、イタリアでは自治体職員もまた被災者であることに配慮した災害支援が行われています。