避難所をめぐる現状と課題

災害対応

●公助ばかりに頼れない!

 災害が起こった時、行政はどのような役割を担うのでしょうか。

 市町村は避難所の開設、運営の支援を行います。都道府県は必要に応じて応援人員の調整や資機材の調達を行い、国は被災地への物資の供給を確保し、輸送します。つまり、市町村を都道府県・国が支援するという体制になっているのです。これは、地域を最もよく理解しているのは市町村であるという考えに基づくものです。

 しかし、対応にあたる自治体職員も被災者であるため、市町村の負担が大きいだけでなく、迅速な対応ができないこともあります。

 また、避難所を開設するのは市町村ですが、内閣府の「避難所運営ガイドライン」によれば、避難所の運営を行うのは避難者自身であるとされています。

 つまり、災害対応は基本的に自治体が行うものと考えがちですが、公助ばかりには頼れないのです。

●災害対応をするのは男性ばかり!

 地方自治体は、災害が起こると災害対策本部を設置し、災害対応にあたります。災害対策本部では、被害状況の把握、支援物資や応援人員の確保・分配、対応方針の決定などが行われます。

 ここで、災害対策本部の構成員に占める女性の割合に注目してみましょう。熊本地震で被災した58市町村のうち、回答を得られた37市町村の防災に携わる職員の男女比を例にすると、グラフのようになっています。

災害対策本部
浅野幸子「『男女共同参画の視点による平成28年熊本地震対応状況調査報告書』(実施主体 内閣府男女共同参画局)から見た自治体および民間支援団体の取り組み状況」 http://gdrr.org/wordpress/wp-content/uploads/2017/08/170806GDRR_asano.pdf を参照し独自で作成

 グラフが示すように、災害対策本部における女性職員が少なく、各自治体で平均すると1人に満ちません。内閣府男女共同参画局の「全国女性の参画マップ」によると、熊本県職員に占める女性の割合が34%であることと比較しても、少ないことは明らかです。

 災害後の対応に当たるのは男性がほとんどで、女性の意見が取り入れられる機会が不足していることがうかがえます。

●ボランティアが来るとは限らない!

 現在では、地域の社会福祉協議会が災害ボランティアセンターを立ち上げ、災害ボランティアの受け入れを行うケースが一般的です。社会福祉協議会は、日本全国にネットワークを持ち、社会福祉事業を通じて普段からボランティアに接しているためです。

 社会福祉協議会は、被災者や行政から個別に要望があると、ニーズを受けて全国から集まる個人ボランティアを派遣します。

 しかし、社会福祉協議会自体が被災してしまっている中で、刻一刻と変わる被災地のニーズを掘り起こし、集まる多くのボランティアとマッチングを行うのは容易ではありません。そのため、ボランティアの特性に合ったマッチングまでは手が回らないこともあります。

 また、ボランティアの人数に自治体間で偏りが大きい、という問題が起きることがあります。必要数を上回るボランティアが訪れる自治体がある一方、大きな被害を受けているにも関わらず必要な人数が集まらない自治体も多いのです。なぜボランティアの数にこのような偏りが出てしまうのでしょうか?

 原因としては、以下の2つが考えられます。

①マスコミにさかんに報道される地域は被害状況がクローズアップされているので、ボランティアが集中しやすい。

②交通機関の便がよい地域にボランティアが集中しやすい。

 また、週末はボランティアが多く来るのに対し、平日はボランティアが集まりにくくなります。